鼻中隔延長 Nasalseptum Extension
鼻中隔延長
鼻中隔延長は鼻の穴を左右に分ける仕切り部分です。鼻中隔延長とは、鼻中隔の先に自分の軟骨を移植することで下方に伸ばす手術です。ダウンタイムはありますが、基本的に自家組織を使うためアレルギーを起こす心配がなく、持続性と安全性が高い特徴があります。
【イラスト 鼻中隔延長前後のイメージ】
【イラスト 鼻中隔延長前後のイメージ】
鼻中隔延長は下記のような方に向いています。
・短い鼻に長さを出したい
・上向きの鼻（アップノーズ・豚鼻）を改善したい
・鼻の穴を目立たなくしたい
・鼻の下を短く見せたい（鼻下と上口唇の距離を短くしたい）
・半永久的な効果を得たい
切らない鼻中隔延長の方法として糸の挿入やヒアルロン酸注入がありますが、効果や安全性の観点から当院では行っていません。
鼻中隔延長の手術の流れ
①全身麻酔
鼻中隔延長の手術は基本的に全身麻酔で行います。眠った状態で行うため、痛みを感じることはありません。
②オープン法で切開
【イラスト：切開線】
鼻の穴の中と鼻柱を切開し、剥離します。鼻中隔の延長する長さや方向を細かく調整するため、オープン法と呼ばれる方法で行います。
③左右の鼻翼軟骨を露出させる
【イラスト：鼻翼軟骨を露出】
鼻翼軟骨を左右に展開すると、中央に見えてくるのが鼻中隔軟骨です。
④軟骨を移植して鼻中隔を延長する
採取した患者様自身の軟骨（耳介軟骨、肋軟骨など）を適度な大きさに加工し、露出させた鼻中隔軟骨の上に移植していきます。（※軟骨の採取部位は後述）
この工程では、移植した軟骨が不安定になったり、潰れたり、外れたりしないように基部をしっかり作ることが重要です。そのため、ぐらつかないように左右2枚の軟骨で添え木のように挟み込むようにして、鼻中隔軟骨と縫い付けて固定します。
【イラスト：軟骨の固定】
固定する前には、顔全体のバランスを見ながら延長する長さや方向を調整します。鼻中隔を延長しすぎると鼻先の皮膚に負担がかかり、傾きや変形につながります。長期的な持ちを考慮し、自然な長さにとどめておくことが後悔しないポイントです。
【イラスト：延長する方向】
【イラスト：延長する方向】
④鼻先を整える
【イラスト：鼻先の調整】
⑥傷口の縫合
最後に鼻を縫合して終了です。傷跡が残らないように、鼻柱部分は特に丁寧に縫合します。当院では「素顔でもわからないほどに美しい傷跡」を追求してきた形成外科専門医が丁寧に細やかに縫合を行います。使用する針や糸も厳選し、傷跡が早く目立たなくなるように配慮しています。
鼻中隔延長で使用する主な軟骨
鼻中隔延長で主に使用する軟骨は、耳介軟骨・肋軟骨・鼻中隔軟骨の3つです。それぞれにメリットとデメリットがあるため、患者様の鼻の状態や延長する長さを考え、どの軟骨を採取するのが最適か検討します。
●耳介軟骨
耳介軟骨は耳の後ろにある軟骨です。採取しやすい、加工しやすい、患者様の身体に負担が少ないなどのメリットがあります。耳介軟骨は柔らかいため、2枚重ねて移植することで術後に鼻中隔が傾かないように工夫しています。
【イラスト：耳介軟骨】
●肋軟骨
肋軟骨は肋骨辺りにある軟骨です。耳介軟骨と比較してサイズが大きく、硬さや強度もしっかりしています。一方で、短い（2〜3cm程度）ですが胸に傷ができるというデメリットがあります。肋軟骨を採取する際は乳房下縁などの胸の下の位置を切開して丁寧に縫合することで、できる限り傷跡が目立たないように配慮しています。すでに他の鼻の手術で耳介軟骨を使ってしまった方は、肋軟骨を選択する場合が多いです。
【イラスト：肋軟骨】
●鼻中隔軟骨
鼻中隔軟骨は、鼻の奥にある軟骨です。薄いものの強度がある組織で、切開する箇所が鼻だけで済むメリットがあります。ただし、土台の強度を保つためにも採取できるのは一部分で、大きな変化を出したい場合は軟骨が足りないケースがあります。
【イラスト：鼻中隔軟骨】
術後の注意点
●鼻中隔延長で起こりうること
術後に赤みや腫れ、内出血、感染、鼻の穴の左右差、鼻づまり、後戻りなどが生じる可能性があります。鼻づまりに関しては、粘膜の腫れやむくみが落ち着いてくる1〜2週間ほどで回復することが大半です。細心の注意を払って手術を行いますが、鼻の穴の左右差については元々非対称であると余計に強調されてしまう可能性があります。
後戻りは、「レティナ」という鼻の穴のリテーナーや「デンバースプリント」という鼻用のギプスによる固定で対応します。
【写真：レティナ・デンバースプリント】
また、オープン法では鼻柱の傷跡が目立つ可能性はあります。目立たない位置ではありますが、上を向くと見えるためコンシーラーなどで隠すとよいでしょう。多くの場合は、3〜6か月で素顔でも気にならないくらいに目立たなくなります。軟骨を採取した耳や胸部にも傷跡ができますが、鼻柱と同様に徐々に薄くなっていきます。
●日常生活における注意点
シャワーは翌日から可能ですが、鼻は濡らさないようにしてください。入浴・飲酒など血行が良くなる行為は、大きな腫れが引くまで1週間ほど経ってからにしましょう。術後は、整えた鼻中隔が曲がらないように1週間ギプスで固定します。鼻へのメイクはギプスを外してから可能です。
その後もむやみに鼻先を触らないように気をつけて、睡眠時はうつ伏せ寝にならないように注意しましょう。傷跡は少しずつ薄くなっていきますが、切開部分にアルコール消毒をしてしまうと傷の治りが悪くなるため控えてください。
CZEN GINZA CLINICの
鼻中隔延長へのこだわり
●日本形成外科学会専門医のドクターが担当
当院は「真正かつ良質な医療」を提供するため、日本形成外科学会専門医の資格を持つドクターのみが手術を担当しています。形成外科領域で鼻の変形や欠損、機能異常などを治療してきた経験を活かし、審美性と機能性のどちらも追求することが可能です。
診察からアフターケアまで確かな知識と経験のある専門医が対応するため、万が一トラブルが起きた際も迅速な処置を受けられます。
●術前の徹底したシミュレーション
【画像：ベクトラH2によるシミュレーション】
診察では、高解像度3Dカメラ「ベクトラH2」を用いて術前のシミュレーションを念入りに行います。鼻中隔の過度な延長や不足を防ぐため、患者様の理想のイメージを事前にしっかり共有することを重視しています。
また、隆鼻術や鼻尖形成など、他の鼻の手術をあわせて行ったほうが綺麗に仕上がる場合があります。適した手術の組み合わせについて、ご予算も踏まえながら提案します。
●手術中も工夫を積み重ね理想の鼻を実現
当院では、延長した軟骨が倒れたり、ズレたりしないように、軟骨の土台部分も縫合などで補強して安定させます。
鼻先の部分もデザイン通りになるように、シミュレーション機器を使用して事前に準備します。手術中にも3D画像の計測を参考にしながら調整を行うことで、より美しい鼻を作り上げます。