関節の再生医療 Regenerative Medicine for Joint Pain (Osteoarthritis)

このような症状がある方は、変形性関節症かも？

変形性関節症に対する治療適応は、X線 CT MRI 超音波検査などで関節の変形が確認され、以下の症状がある場合です。

変形性関節症とは？

変形性関節症とは、関節を構成する骨の間にある軟骨に劣化が生じ、痛みや腫れを引き起こし、最終的には関節の変形をきたす変形性疾患です。膝や足の付け根、肘、肩などの関節に痛みや腫れなどの症状がみられ、関節炎を引き起こし変形が目立つようになります。膝関節の例でいうと、初期症状としては立ち上がり、歩きはじめなどの動作の開始時に痛み、がみられ、しばらく休めば痛みは改善しますが、中期になると正座や階段の昇降が困難となり、末期になると、安静時や夜間も痛みがとれず、関節の変形が目立ち、膝が真っ直ぐに伸びなくなり歩行が困難になります。本邦で症状のある患者数は約800万人といわれ、その予備軍は何と2000万人と言われています。頻度は女性の方が男性よりも2～4倍多く、50歳代以降からは特に発症頻度が上がります。
要因としては加齢、肥満、遺伝のほかに、スポーツや仕事、事故などによる関節の損傷が挙げられます。健全な状態の関節には可動性があり、日常生活で受ける負担に耐えられるようになっています。また、関節骨の端の部分は軟骨で覆われていて、これがクッションのような働きをしています。しかし、この軟骨が長年の負荷によって徐々にすり減っていくと、動きが悪くなったり、炎症や痛みを伴うようになったりします。
膝関節の場合、歩行時は毎日体重の3倍の負担を受けながら生活しており、階段昇降時は体重の約５倍、ジャンプや走行時は体重の約７倍の負担がかかります。これは、体重60kgの方の場合420kgもの負荷が毎回膝にかかっていることになります。膝関節は毎日動かしているため、骨の間でクッションになっている軟骨や半月板が徐々に擦り減ってきます。加齢に伴い軟骨が十分に再生されなくなると、軟骨の下の骨も擦り減って、滑らかな動きが阻害され、強い炎症や痛みを生じます。

正常な膝関節と
変形性膝関節症の場合

変形性関節症の治療方法

変形性関節症の症状が軽ければ、消炎鎮痛剤の内服や外用（湿布、ゲル剤）治療、ヒアルロン酸の関節注射、もしくは理学療法に代表される可動域訓練、筋力・歩行訓練などの改善訓練などで管理可能ですが、重症例、難治例は関節鏡手術、高位脛骨骨切り手術、人工関節置換術が適応となります。最終的な治療手段と考えられる人工関節置換手術は、退院時にも痛みが残り、痛みは3か月以上続き、その後も患部に焼けるような痛みが残ることがあります。本来は、重症化しないように食事療法や運動療法により適正体重の維持や筋力増強を図ることが大切なのですが、いったん重症化してしまうと手術の必要性が高くなってしまします。

症状の進行度によって
異なる治療法

再生医療という
新しい治療法

保存療法、手術療法とも異なる第三の治療として、最近は「再生医療」という最先端の治療法が注目されています。私たちが病気やけがをした場合、通常は薬剤、義足、ペースメーカーといった、化学薬品や人工器具を使って失われた身体機能を取り戻そうとしますが、再生医療では、こうした人工物には頼らず、私たちの身体が持つ再生能力を最大限に活かして治療を行います。具体的には、患者様の血液から増殖因子の工場である「血小板」を精製濃縮したものを投与したり、患者様の生きた幹細胞を抽出して培養増殖した後に投与することで失われた組織や臓器を回復させます。また、表皮、角膜、軟骨や筋肉といった組織の再生や、究極的には肝臓、心臓といった臓器そのものを再生することで、根本的な改善をさせる「根治療法」を目指す医療です。
当院では、ご自身から採取した血液を遠心分離器にかけPRP(多血小板血漿)を作成し、関節、皮膚、頭皮などに注入する「PRP治療」と、ご自身の脂肪組織から間葉系幹細胞を分離し、数千万～１億個程度までに幹細胞を培養増殖した後に、静脈投与または局所投与する「脂肪由来幹細胞治療」の両方の再生医療が受けられます。

再生医療の実績

あまり一般的には知られていませんが、再生医療の一つであるPRP療法は、海外では20年以上の実績があります。ヤンキースの田中将大投手が肘の靱帯損傷に対して本治療を受け、復帰を果たしただけでなく、必要と言われていた「トミー・ジョン手術」という肘の靱帯再建手術を回避し、さらにはPRP治療後に驚愕の活躍をしたことで一般に認知されました。PRP療法は欧米では既に治療法として承認されており、スポーツや仕事中の怪我に対して、早期回復を望まれる方に適応となります。それだけでなく、現在では早期復帰が必要なプロアスリートや、重要な試合を控えたトップアスリート、テニスやゴルフ、ジョギングなどのスポーツ愛好家の方はもちろんのこと、変形性関節症に悩む方、薄毛治療、ニキビ痕、シワ・たるみ・肌質改善などを対象にPRP療法は幅広く行われています。

当院が提供している再生医療

当院では「PRP療法」「脂肪由来幹細胞治療」を受けることが可能です。当院は正式なプロセスを踏み、厚生労働省に第二種および第三種再生医療等提供計画を提出し、再生医療に必要な治療計画番号を取得した医療施設です。数多くの再生医療メニューを取り扱っており、治療メニューは第二・三種を合わせて7種類にものぼります。さらに投与方法は、最先端機器を多数揃えているため、治療との掛け合わせで多くの選択肢が生まれ、患者様に最適な再生医療を受けていただくことが可能です。